第17回日本スカウトジャンボリー 栃木2隊 奮闘記 8/8編
8月8日 会場入り5日め
死活問題
実は8月6日夕方の時点で重大な事実が発覚していた。
配給所の薪が尽きており、「無いからもう渡せない」と言われたという。
今回のジャンボリーでは、全期間中1隊が使用する薪の総量を示す“見本”が置かれ、そのぶんだけ持って行かせることになっていたそうだが、薪の配給にあたるスタッフにその指示が徹底されていなかった。
(もちろん、その一方で必要以上の量を持っていった隊が多数あることになる)
初日、食料配給のついでに薪を受け取ってきたS副長によると、現に「足りなくなったらいつでも取りに来てください」と言われたという。
この不徹底の証拠に、輸送部へお伺いした時も、千葉17隊さんにお伺いした時も「みんな薪が無くて困っている」という話を聞いた。
本部スタッフの話では「今後薪が追加される保証はない」とのことだったので、8月6日夜の指導者会議に対応策(後述)を提案し、受理される。
翌8月7日朝、起床してきた全スカウトに上記事情を説明し、以下の対策を指示する。
1.薪の節約を最優先事項とする。
2.使用するコッヘルを8個から6個に、ストーブを4台から3台に減らす。
3.上記に伴い、班単位での炊事を止め、共同で炊事を行なう。
4.リーダー用のカセットコンロを隊全体の炊事に使用する。
5.隣接する林の枯れ木を拾ってきて薪にする。
6.リーダーは各方面に援助を要請する。
ネパール隊の炊事を巡ってハッキリしない指示を出す“上”に私がブチ切れたのには、薪が無いという事情もあったからだ。
ゴミ捨てでやっぱり…
いつものようにS副長が配給に出発した後、私も当番を連れてゴミ捨て場に…。
いつかはこんな時が来るんじゃないかと思っていたが、10分ほど前に着くと、案の定行列ができている。
杓子定規に、定刻の6時半にならないとゴミを受け付けないらしい。
様子を見ていると、いつもは係員のリーダーが2人いるだけだったが、今日は奉仕スカウトが次々と加わっていく。
どうやら奉仕スカウトの集合時間が6時半のようだ。
6日・7日とゴミ捨てに来たが、来た順に分別されたゴミを定められた位置に置いていくだけなので手助けなど必要ないし、もちろん行列もなかった。
それが、わざわざ行列を作らせるまでしてスカウトの奉仕が必要ということは、ゴミの分別を守らない隊があり、それをチェックするためとしか考えられない。
ようやくゴミの受付が始まるが、通路は大混乱。
なぜなら、このゴミ捨て場は通路の東西方向の真ん中に位置するため、東西両方向にゴミ捨ての行列ができている。
さらに、この通路には一般の往来もある。
可哀想なことに、配給品を受け取って自隊サイトへ戻ろうとするリヤカーもこの渋滞に巻き込まれている。
まだ幼さの残る他隊スカウトがゴミを捨て終わってリヤカーの踵を返そうとするが、押し寄せる人波がそれを阻む。
この光景を目にしてまたまたブチ切れたワタシ、彼のリヤカーを持ち上げて方向転換させた後、路肩を通るよう誘導する。
「左側に寄れ! 通路を作ってやれ!」
自隊のゴミを捨てようとするだけで全く事態を収拾しようとしない他隊リーダーを怒鳴りつける。
通路いっぱいに広がっていた待ち列が左側に寄って、往来が機能するようになったため、当番と一緒にサイトへ戻る。
日本一へ…リベンジ
今日は朝イチ(9時)から全班が日本一を競う班旗立てに参加することになっていたが、栃木2隊は8時半から行なわれるSCの国旗儀礼当番でもあった。
会場まで30分近くかかることを考えると、この儀礼に参加していてはプログラムに間に合わない。(なぜプログラム開始時間に間に合わない時刻に国旗儀礼を行なうのか理解できない! 怒)
かと言ってボイコットする訳にもいかないので、儀礼にはトチノキ班とK隊長、WB副長のみが参加し、レオ、オオカミ、匿名の各班はO副長に引率されてプログラムに出発していく…。
国旗儀礼に備えるトチノキ班とリーダー
朝食準備に手間取ったため、またまた間に合うか否かのギリギリで出発となったが、後で聞いたところ、今日の係員は融通の利く方で、何とかしてくれたらしい。(感謝!)
エクスカーション・バス乗り場を下見
今日の午後、オオカミ班がエクスカーション・プログラムに参加するため、会場最南端にあるエクスカーション・バス乗り場を下見に行く。
午前の部のバスは既に出発した後だったが、留守番のリーダーが一人いらしたので、ココに来た意図を説明する。
「今日の午後、洞窟探検に参加させていただく栃木2隊の引率の者です。
担当者や日によって対応が異なるということが多々あるため、あっ、決してこちらのことではありません…(汗)、スカウトがバスに乗れないという事態を避けるため、確認にお伺いさせていただきました。
受付の手順はどのようにすればよろしいのでしょうか? 必要書類はこれでよろしいでしょうか?
14NJで並んでいたバスの行き先が分からず困ったという話を聞いているのですが、バスにプログラム名は示されているのでしょうか?」
私の質問に一つ一つ丁寧に答えていただき、14NJの時よりもオペレーションは劇的に改善されており、普通にココに来れば間違いなくバスに乗れることが分かって一安心。
お礼を言って帰ろうとする私に「スカウト・ファーストですね。素晴らしいです」と声をかけていただき、思わず目頭が熱くなる。
さらに「このことは班長に報告しておきます。もしこのプログラムで何らかの変更が生じた場合、連絡しますので、連絡先を教えてください」とまで言ってもらえた。
心遣いに感謝し、改めてお礼を述べてサイトにトンボ返りする。
隊交歓打ち合わせ その2
サイトへ戻ると、朝礼当番を済ませたトチノキ班の面々は既にプログラムに出発していたが、Nくんだけはサイトに残り、企画の最終チェックを行なっていた。
そうこうするうちにオオカミ班のS次長、レオ班のT次長もプログラムを途中で切り上げてサイトに戻ってくる。
約束時刻の11時半、千葉17隊のO副長とN上級班長が訪ねてくる。
早々に自己紹介を済ませた後、Nくんが分単位できっちりまとめあげた企画内容について説明を行なう。
内容を聞いて「ウチの子たち、信じられないほどノリが悪いんで、心配なのよね~」と漏らす千葉17隊のN上級班長。
実はこのN上級班長、昨夜の大集会で“バブリー・ダンス”を披露した姉妹のお姉さんのほうで、そのことを告げられたウチの3人、目を輝かせ、身を乗り出す。(笑)
しかもダンスだけではなく、言葉も立ち居振る舞いも堂々としたもので、高校2年生ながらO副長よりも格上の感がある。(^-^;;;
(事実、隊交歓の際、原隊隊長さんたちも彼女の指示には「ハイッ、ハイッ」と従っていた 滝汗)
このN上級班長のざっくばらんさに緊張が解けたのか、それまでどことなくよそよそしかった打ち合わせが、ホンネで意見し合う“本物”の打ち合わせに変貌する。
「あ、やっぱり…。僕もコレじゃ堅くて盛り上がらないんじゃないかと思ってたんですよ。ゲームとか入れたほうがイイですよね」とウチのNくん。
その後は自由に思うところを交わし合い、交歓時間を1時間から1時間半に延長すること、司会はNくんとN上級班長の2人が担当すること、追加するダンスやゲームの内容等を決め、30分ほどで打ち合わせは終了した。
これまで全く表舞台に立つことのなかったNくんが、たった半日でリーダーに変貌し、積極性が激増したことに驚くと同時に嬉しく思うワタシ。(^-^)
エクスカーション「洞窟探検」
サイトで昼食を済ませ、S次長、T次長と連れ立ってプログラムエリアへと向かう。
「私、担任や部活の顧問に『Sさんってホントに話を聞かないわよねぇ』って言われちゃうんですよ」
「担任や顧問だけじゃないだろう、ボーイスカウトのリーダーにも言われてるだろう」
「プラザに立ってると男が何人も声をかけてくるんですよ」
(T次長と声を合わせて)「盛ってんじゃねぇよ~」
等々、スカウトと同じ目線でバカ話を続けながら歩くことに幸せを感じるワタシ。
『あぁ、この時間が永遠に続けばいいのに…』
ちょうど待ち合わせ場所に来たレオ班にS次長を返し、私とT次長はエクスカーション・バス乗り場へ…。
到着すると、Y上級班長とオオカミ班の面々は約束どおり受付前に集合していた。
受付を済ませると、すぐに添乗リーダーから説明があり、長靴に履き替えてバスに乗り込む。
出発時刻の30分以上前だったが他の参加者は全員既に乗車しており、すぐにバスは出発する。
20分もかからず最初の目的地丸和工業さんの工場に到着。
丸和工業さんは珪藻土製七輪を製造されている会社で、“洞窟”とは珪藻土の坑道のことだった。
ヘルメットを被り、ヌルヌル滑る坑道を慎重に下っていく。
ヌルヌルの坑道を進むスカウト
他の洞窟同様、中に進むと気温はググッと下がり、バスの冷房よりも寒いくらい。外の酷暑とは無縁のパラダイスだ。
珪藻土の切り出し場所に着くと、社員の方が切り出しを実演して見せてくれる。
ノミの親玉のような道具で四方に切れ目を入れ、最後は切れ目の一つにクサビを噛ませ、かけやでドカッとクサビをひと叩きすると、四角く切り出された珪藻土がドサッと下に落ちる。
実演が終わると、「それじゃ、どうぞ」とノミの親玉がY上級班長に渡される。
壁面にノミの親玉を繰り替えし突き刺すが、いつまで経っても「代わって」という言葉は件の社員さんから出ない。(^-^;;;
Y上級班長@珪藻土切り出し中
もう充分だろう…と思ったところで「せっかくなので、他の隊の皆さんもどうぞ」と声をかけて交代させる。
その後何人かが交代で切れ目を入れた後、かけやでクサビを打って四角形を切り出すのもスカウトが体験した。
切り出しが終わったら、地上の工場に戻って四角形を七輪に加工する実演も見学した。
七輪の仕上げ工程を見学するスカウト
豆腐づくり&禄剛埼灯台
エクスカーションプログラム次の目的地は「道の駅狼煙」。
お店の方に作り方を教わりながら、一人一個豆腐を作る。
湯煎しながらゆっくりかき回しているところ
座席が足らずリーダーは立ち見(というか、立ち撮影)になったが、気を利かせたY上級班長が私のぶんも作ってくれていた。
上級班長に作ってもらった豆腐は美味しくいただきました…。(^-^)v
豆腐づくりが終了したら、バスが出発する16時まで自由行動。
実はお店の人に「豆腐づくりが終わったら、速攻で食べさせてやってください…」とソフトクリーム9人分(私のぶんも入ってま~す 笑)を注文しておいた。(笑)
食べ終えたところで、「せっかくここまで来たんだから見に行くか!」と禄剛埼灯台まで足を伸ばす。
添乗リーダーの方に「登り道がキツイ」とは聞いていたが、そのとおりで、元気いっぱいのスカウトくんにみるみる引き離されていく。(^-^;;;
何とか追いつくと、聞いたとおり眺めが素晴らしい。
能登半島の最先端に位置するため、視界の270度くらいは海。
しかもこの日は天気が良かったため、佐渡ヶ島まで見える。
柵に腰掛け、寄り掛かり、真っ青な海と真っ青な空を眺め、思いを巡らせるスカウトくんたち…。
オオカミ班@青春中(笑)
そのスカウトくんたちの姿を見て『青春だなぁ…』と感慨に耽るオジサン・指導者…。(笑)
思い思いに時間を過ごした後、バスに戻ろうとするが、その道中、「晴れっ、晴れっ、晴れ~♪」と歌い始めるスカウトくんたち。
普段は恥ずかしがって自分たちから歌うことは滅多にないが、自然にみんなで歌い始めた光景を目にし、思わず目頭が熱くなる…。
その後は何事もなく、17時ころにはサイトに無事帰着する。
千葉17隊さんと隊交歓
夕食準備、夕食、後片付け…と首尾よく進み、予定時刻の19時半、千葉17隊さんサイトに到着する。
入場する栃木2隊スカウトの隊列を千葉17隊さんのリーダー陣が花道を作って出迎えてくれる。
千葉17隊スカウトが円を描いて座っている外側に、栃木2隊スカウトが同じく円を描いて着座。
千葉17隊スカウトは外向き、栃木2隊スカウトは内向きで座っているので対面となる。
栃木2隊Nくんの「本日はお招きいただきましてありがとうございました…」という挨拶を皮切りに、Nくん&千葉17隊N上級班長の司会で隊交歓が始まる。
最初は向かい合った栃木2隊・千葉17隊スカウトの1対1自己紹介。
予想外に盛り上がった自己紹介
数十秒経ったところでホイッスルが吹かれると、その自己紹介は終了し、外側の栃木2隊スカウトは席1個ぶん移動、新しい相手と自己紹介を始める。
これを5、6回繰り返したところでいったん自己紹介は終了し、まずは栃木2隊がソングリード。
歌が終わると再び席を移動しての自己紹介が始まり、また5、6回繰り返したところで今度は千葉17隊がソングリードという按配…。
シャイなスカウトが多いなか、この自己紹介の繰り返しで盛り上がるか?というのが最大の不安材料だったが、驚いたことに最初から大盛り上がり。(@_@)
その盛り上がりの原因(?)とも思えたのが、ウチのベンチャースカウト陣。
千葉17隊は小学6年生と中学1年生が多いのだが、そんなことはお構いなしに、ウチのVSたちは目を輝かせ、明るい表情で千葉17隊スカウトが積極的に話せる雰囲気を作っている。
日頃の彼らからは想像もつかない行動だ。
その理由は、VS仲間のNくんが必死に企画をまとめ、使命感から司会や挨拶も自分から買って出た姿を見ていて、『これはいっちょ力になってやらにゃなるまい』と感じたからではないかと思われる。
その証拠に、普段は恥ずかしがって大きな声でスカウトソングを歌うことなどない彼らが、文字どおり声を張って積極的にソングリードしている。
もともと隊交歓が始まったら、企画チーム&スカウトに任せて一切声も手も出さないつもりだったが、このVSの姿を見て完全に安心した。(^-^)
その後も自己紹介は盛り上がり続け…、T次長の「幸せなら手をたたこう」のソングリードでは彼の名前が“合いの手”で両隊に大合唱され…、
N上級班長姉妹がダンスを披露し…、千葉17隊対栃木2隊の新聞紙ジャンケンゲームが行なわれ…、スカウトグッズ等の交換が行なわれ…
“合いの手”で名前を連呼されるT次長(笑)
きっちり予定どおりの1時間半で隊交歓は終了。
再び千葉17隊さんにお礼を言ってサイトを後にした。
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