やっぱりIP-2222は面白い

音丸

2017年08月28日 10:40


黄缶会古参メンバー“ぴこさん”のIP-2222。渋みを出すため、わざわざ温泉に浸けたという話は今でも黄缶会で語り草に…

1988年に発売されたIP-2222 Daybreakは、デイブレイク(夜明け)という名が示すように、イワタニプリムス初のトランク型ツーバーナー。
シリアルナンバー入りの限定生産品でした。

その最たる特徴は、ボディが真鍮製であるということだが、ネジまで真鍮が用いられており、その徹底ぶりには感服させられる。

その後のツーバーナー同様、バーナーヘッドには2243が用いられているが、なんとシングルバーナーとしてのIP-2243そのものがそっくり組み込まれている。

そのため、ツーバーナー特有のグレート(桟)が装備されているにも関わらず、その下にX字ゴトク付きのIP-2243が鎮座ましましている。
つまり、IP-2222はゴトクが二段構えになっているのである。(^-^;;;

上記以外にも『IP-2222がプロトタイプ機ではないか?』と思わせる点がいくつかある。

一つは、燃料調整ツマミ。
これもIP-2243のバルブ部分がそのまま組み込まれており、IP-2243の調整ツマミを筒状のパーツが包み込んでネジ留め、IP-2222前面の燃料調整ツマミまでシャフトで延長されている。

どう考えてもバルブのシャフトを延長したほうが動作やコストの面でメリットが大きいと思うのだが、わざわざこの方法を取っていることが、IP-2222がプロトタイプと思わせる要因の一つである。

事実、翌年発売される後継機(廉価版?)のIP-2222ALでは、シャフトを延長した専用のバルブパーツが組み込まれている。

もう一つはカートリッジのガイド。
IP-2222は直結式(ボディ下部からバルブにカートリッジをねじ込む)なのだが、カートリッジのアールに合わせたガイドが付けられている。
このガイドももちろん真鍮製だし、パーツのアールがけっこうまちまちのため、一点一点手作業で曲げたのではないかと思われる。

IP-2222ALのガイドが、ボディをパンチした後垂直に起こしただけということを考えると、いかにIP-2222にコストと手間がかけられているかが分かる。

得てして最初の商品はオーバークォリティに陥りがちだが、IP-2222はその典型と言える。


黄缶会古参メンバー“defdefさん”のIP-2222。オフ会での撮影に向け、バラして磨いたのでピカピカです

発売当時の定価は39,800円。
コールマンの413Hがホームセンターでは9,800円で売られていたことを考えると、ベラボウに高価である。

しかし、使えば使うほど味を増していく真鍮製IP-2222の雰囲気は、ブリキ感満載(コールマンファンの方、ゴメンナサイ!)の413Hとは比較にならない。

また、必要以上のコストと手間をかけたプロトタイプ感は、逆に風格さえ漂わせる。

私を含め、黄缶会のメンバーから畏敬の念を込めて“金閣”と呼ばれる所以である。

“OSSUNさん”所有の初期モデル(右側)と私が所有する後期モデル(左側)との比較。初期モデルはサイドアームの天板取付部に補強板がありません

IP-2222 Daybreak データ


サイズ:W55xD37xH14cm
重量:6,600g
出力:2,700Wx2
発売期間:1988~1992年
定価:39,800円


あなたにおススメの記事
関連記事