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Evergreen(音丸の90年代キャンプスタイル)

大好きな1980~1990年代初期のキャンプ道具に囲まれたサイトで過ごす幸せなひととき。

いちばん明るいランタン

   

いちばん明るいランタン
サーチライト並みの照度を誇る、いたさんの自作リフレクター付きP-571

先日インスタグラムのフォロワーさんから

「プリムスでいちばん明るいランタンは何ですか?」

という質問を受けました。


良い機会なので今回は「明るいランタン」について書いてみます。


カタログ値が全てではない


一見、カタログに記されている出力(ワット数ないしキャンドルパワー)の最も大きなモノがいちばん明るいランタン…と考えますが、実際にはそう簡単にはいきません。

なぜなら、この出力は同一条件下での理論上の数値であり、実際にキャンプで使用する際には、下に述べるように様々な条件が異なってくるからです。

昔から本Blogをお読みいただいている方は、黄缶会オフで何回か行なわれている「ランタン照度競争」で上記が証明されていることをご存知でしょう。

例えば、カタログ出力230WのIP-3257HAよりも150WのIP-2257HAEのほうが明るい…という現象も起こるのです。

では、なぜそんな逆転現象が起きるのか、その要因について以下に述べていきます。


ガスカートリッジ


注:この項目はガスランタンに限ります。白ガス・灯油ランタンは当てはまりません

ガスカートリッジが光量に影響するポイントは以下の3つです。

1.ガスの種類
2.ガスの残量
3.気化促進機構


ガスの種類
いちばん明るいランタン
2018年2月現在、イワタニプリムスからはG缶・T缶という2種類のカートリッジが発売されています。(U缶、W缶もありましたが、現在は販売されていません)
違いは充填されているガスの種類と混合率で、今はGがブタン65%、イソブタン33%、その他2%。Tがブタン75%、プロパン25%です。
(注: 種類と混合率は発売年によって異なり、一定ではありません)


ここで問題になるのが充填されているガスの気化温度。

カートリッジには液化ガスが充填されていますが、この液化ガスが気化したものと酸素が混合されて燃焼します。

理科の授業を思い出してほしいのですが、液体が気化するためには気化熱が必要で、カートリッジが接する大気中から調達します。

気温が高ければ問題ないのですが、低いと気化速度が低下して暗くなります。

ブタンの気化温度(沸点)はマイナス0.5℃ですが、気温が1℃なら気化できる…という簡単なハナシではありません。
上で述べたように大気中から熱を調達するため、カートリッジ周囲の気温が下がってしまうからです。

なので、寒冷地用としてイソブタン(沸点マイナス11.7℃)やプロパン(沸点マイナス42.09℃)を充填したカートリッジが用意されている訳です。


ということで、使用時の気温によっては、G缶使用の3257よりもT缶使用の2257のほうが明るい…という現象が起きてしまう訳です。


ガスの残量
では、常にG缶よりもT缶のほうが明るいか…というと必ずしもそうではありません。

T缶の場合、温度が低いと先にプロパンを使ってしまい、プロパンを使い切った時点で光度が落ちます。

この状態のT缶を付けたランタンと、新品のG缶を付けたランタンでは、G缶のほうが明るくなります。
T缶にはブタンしか残されていませんが、G缶にはまだイソブタンがたんまりあるからです。


気化促進機構
気化熱は液化ガスが大気と接触する面から調達します。

よって、G缶の場合には、ガスの残量が多いほうが接触面積が多く、大気中から熱を調達しやすくなります。

なぜ上で“G缶の場合には”と書いたかというと、T缶には気化促進機構が備わっているため、これが当てはまらないからです。

いちばん明るいランタン
気化促進機構はカートリッジ内部にグルリと貼られた布製のモノ(一時期紙製だったこともある)で、液化ガスがこの布に浸透することで表面積が増え、気化熱を調達しやすくしています。

つまり、残っているガスの種類と量が同じ場合には、気化促進機構の付いているカートリッジのほうが明るくなります。



マントル


マントルが光量に影響するポイントは以下の3つです。

1.大きさ
2.使い始めてからの日数
3.製造年度


大きさ
大きく・丸く空焼きできたマントルのほうが、上手く膨らませられなかったマントルよりも明るいですよね。

また、メーカーの都合でマントルの種類を整理(統合)したことにより、現在では本来のサイズよりも小さなマントルしか売られていないモノもあります。
(IP-100LAおよびIP-200LAは逆のパターンで、本来のマントルはAマントルより小さい専用品でした)

昨年10月の黄缶会オフでは、いたさんがCマントルよりも一周り大きい“3257専用マントル”をP-571に付け、その実力の違いを見せつけてくれました。

ただし、マントルは大きければ大きいほうが良いか…というと当然限度があります。

設計上のマントルサイズに合わせてガスの放出量が決まっていますから、大きすぎると逆に効率が悪くなってしまいます。

それに、ガラスホヤへの負担が増大し割れてしまう恐れがあります。


使い始めてからの日数
マントルは壊れなければ永久に使える…というモノではなく、使うに従ってだんだんと痩せていき、それに伴って光量も落ちます。

したがって、何年もマントルを変えていないランタンと、マントルを付け替えたばかりのランタンでは、後者のほうが明るいです。


製造年度
今のマントルには無いようですが、むか~しのマントルには放射性物質が含まれていました。

人体に与える影響を考慮して取りやめたのでしょうが、実は、この放射性物質が含まれているマントルのほうが明るいんです。(^-^;;;


ホヤ


ランタンに装着するホヤの種類で明るさも変わります。

言うまでもありませんが、クリアホヤは光を遮るものが無いのでもっとも明るく、透過率を下げたフロストホヤはクリアホヤよりも暗くなります。

メッシュホヤは金属の網が光を遮るだけでなく、ヘッドが風の影響を受けやすいため、もっとも暗くなります。


リフレクター


ホヤの反面を覆うリフレクターは、隣のサイトに迷惑をかけないよう光を遮る為に使われますが、光を集めることによって明るさが増します。

黄缶会のランタン照度競争では照度計で明るさを計測していますが、リフレクターの無いランタンと有るランタンとでは明るさがかなり違います。(ルクスにして最大10倍以上)


結論


イワタニプリムスで「いちばん明るいランタン」とは…

1.P-571(カタログ数値上では3257HAと同じだが、体感ではP-571のほうが上のように思われる)
2.のホヤをクリアに換装し
3.ピカピカに磨き上げたリフレクターを着け
4.構成成分がプロパン+イソブタンだった頃の未開封T缶
 ないし今は発売されていないU缶(プロパン+イソブタン)を使用
5.今は発売されていない3257専用マントル
6.上手に丸く大きく膨らませて空焼き

したモノ。



蛇足ですが…


逆にイワタニプリムスでいちばん暗いランタンは

1.IP-9300の前期型(ヘッドがコイル状)
2.構成成分がブタン100%だったころのG缶
 しかも残量がわずか
3.何年も使って痩せ細ったマントル

だと思います。(笑)




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この記事へのコメント
>NYなゆぱぱさん

2257って、カタログで示されている数値よりも体感で明るい気がします。
というか、上に書いたように、あくまでも使い方次第です。

キャプスタは比較的最近まで放射性物質入りのマントルを売っていたみたいです。

今も某国で売られているマントルには放射性物質が入っているから明るい…というウワサもありますね。(^-^;;;

音丸音丸
2018年02月12日 00:21
私は2257を買った理由が当時の雑誌でガスで
一番明るいランタンと書いてたのを見て買いました。
そこで満足してました(笑)
でも、P-571って最高の明るさって言うと惹かれますね。

3年か4年くらい前にキャプテンスタッグが放射性物質が入った
マントルを販売したとして回収してましたね。

NYなゆぱぱNYなゆぱぱ
2018年02月12日 00:09
〉GRANADAさん
早速のコメントありがとうございます。

ことランタンの照度差に関しては、黄缶会オフの照度競争が無ければ、こんなにハッキリと言い切れなかったと思います。
実測しているのは大きいですよね。

個人ではなかなか出来ないことですから、黄缶会をやってて良かったとつくづく思います。
音丸音丸
2018年02月10日 21:48
さすがのレポですネ @o@

黄缶会名物「明るさ選手権」での実際の測定結果なども考慮された結果とお見受けしました。

特に OD 缶、ウチは OD缶を使うものがないので不案内でしたが、それほど種類があったとわ ^^;;;

いやぁ、奥が深いデスネ ^^

GRANADAGRANADA
2018年02月10日 16:25
 
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    コメント(4)