【レポ】サバイバルキャンプ(1)

音丸

2015年06月09日 11:56



6月6日~7日にかけて行なわれた「ボーイスカウト栃木県連盟 宇都宮第15団ボーイ隊 サバイバルキャンプ」の模様をレポートさせていただきます。


●想定


ボーイスカウトの訓練においては、原則的に“想定文”というものが用意されます。

これは、訓練がどういった想定の元に行なわれるかをストーリィ仕立てで記した指令書/状況設定書です。


今回の想定は、以下のようなものでした。

宇都宮15団ボーイ隊サバイバルキャンプ想定(抜粋)

状況
・自然災害に見舞われ、この苦境を乗り切るため、宇都宮15団野営場に集合することとなった。
・倉庫の一つが破損し、テントは使えない。
・ブルーシートやロープ、スコップ、消耗品等が収められた倉庫は無事で、中のモノは使える。
・倉庫の外にある丸太、薪、板、ブロック等も使用できる。
・野営場の井戸水は病原菌“U-15(筆者注:Utsunomiya-15)”に汚染され、飲食には使用できない。

持参するもの
・弁当、水筒、コップ、個人装備
・米2合、毛布、2リットルペットボトルに入れた水2本、45リットルのゴミ袋2枚
・サバイバルキット(各自が用意)
・防寒服



サバイバルキットについては、前回の訓練で各自が考えてキット内容を書き出しており、そのリストに基づいて用意してきます。


●設営


6月6日サバイバルキャンプ当日の9時、スカウトたちが集まったところで開会のセレモニー。

引き続き、改めて隊長から今回のサバイバルキャンプの主旨説明が行なわれた後、今晩の寝床となる簡易シェルターの設営に入ります。


シェルターの設計、製作はスカウトが行ない、リーダーは一切口出ししません。

過去に、構造上“危険”と思われたためアドバイスしたことはありましたが、今回は全く口出しの必要はありませんでした。


今回は男女に分かれ、それぞれが自分たちのシェルターを作りました。


女子は、杭を2本打ち、その間に長い角材を角縛りで固定してメインポールとした三角テント。

ブルーシートのサイドは、コンクリートブロックと短い丸太(普段は椅子に使っている)に縛り付けて固定しています。

美観的にも強度的にもしっかりした仕上がりで、これまで10回ほど行なわれてきたサバイバルキャンプの中でもいちばんの出来でした。
(しかも、写真を撮った後には、雨天対策用にしっかり溝堀までしています)


一方の男子は、片端(下の写真では奥側)の支えに野営場出入口フェンスを利用し、もう片端とセンターのメインポールは“ゴミ捨て場から拾ってきたモップの柄”を使うという、省力・ちゃっかり・成り行き任せシェルター。(笑)

途中までは見た目もけっこうマトモだったんだけれども、出入口を塞ぐ段になったら、残っているブルーシートが巨大な物しかなく、こんなグダグダな外観になっちゃいました…。

最初にきちんと設計せず、泥縄式に作っていくからこういうことになる訳で…。(笑)

ただ、美観はお世辞にも褒められたものではありませんが、今までフェンスを利用してシェルターを立てたスカウトは誰もいないので、その発想力は評価に値するかと…。



スカウトくんたちがシェルターを設営している間、私は自分の寝床を…。

「ズルい…」と言われてしまうかもしれませんが、明日もきちんと指導できるよう、私はテントで寝ます。(笑)

せっかくの機会なので、8年ほど張っていなかったヨーレイカのサンドーム4を引っ張り出し、風通し&虫干しします。

10年近いキャンプ休眠期間に入る前、我が家のメインテントとしてさんざん活躍してくれた大好きな幕ですが、ジオデシック構造の割にはサイズが手ごろなため、あっという間に設営できます。

カラーリングといい、シルエットといい、やっぱり好きだなぁ、サンドーム…。(^-^)



その後、女性指導者用にランブリ5を張ったら、午後に行なう“火熾し”セッションの準備。

きりもみ式&弓ぎり式火熾しに使う道具を作ります。

指導者の一人が市販の弓ぎり式火熾しセットを持って来ましたが、ここはやっぱり自作で…。(^-^)v


ちなみにこの間、工作大好きな隊長は、スカウトくんたちの横に自分用のシェルターを作っています。(^-^)

他の男性指導者はメタルテント(=車)で寝るので、テントは張りません。(笑)



●弓ぎり式火熾し


途中、昼食を挟み、設営が終了したところで、サバイバルキャンプのメインイベントとも言える“マッチやライターを使わない火熾し”にチャレンジ。

あいにくの曇り空となってしまったため、レンズを使った火熾しは行なわず、すぐに摩擦式火熾しの説明を行ないます。

午前中作った道具を見せながら、まずはきりもみ式火熾しの原理を説明し、やり方を実演。

続いて、その発展形である弓ぎり式火熾しについて…。


せっかくの機会なので、各班一つずつ「弓ぎり式火熾し」の道具づくりから行なうことにしました。


野営場には薪や端材、竹がたくさんあるため、適当なものを探し、加工します。

回転させる“火きりキネ(火きり棒)”は、角材の頭とお尻を円錐状にし、スムーズに回るよう胴体の角も落とします。

火きりキネを押さえつけるハンドピースは、四角い端材の中心をナイフで抉り、火きりキネのお尻が収まるように加工します。

火きり板は、ナイフで火きりキネ先端を当てる位置を少し抉った後、きりもみして火きりキネの外周を出し、その外周に向かってV字型の切れ込みを入れます。

最後に竹を割り、両端に穴を開けてロープを通し、を作って完成。


火きり板にV字の切れ込みを入れるのだけは私がやりましたが、後は全てスカウトたちが分業しながら作成し、全班完成。


あとは、必死になってひたすら弓を前後に動かします。(笑)


弓を動かし続けると、そのうち焦げた臭いがし、白い煙が上がり、火きり板のV字型切れ込みに黒い削りかす(炭粒)が溜まっていきます。

ここからが正念場で、更に死に物狂いで前後に動かすと、炭粒内に赤い火種が熾きます。

この火種を“ほくち”に落とし、優しく包んで逆さに持ち、左右に振って空気を送り込むと、ある一定の段階でボワッと燃え上がります。

ちなみに、空き時間の間、各自麻紐を解いて、ほくちは製作済みです。


弓を前後に動かす人間と、ハンドピースで火きりキネを抑える人間の2人に分かれて行ないましたが、これがなかなか難しい。



ガッチリ押さえすぎると火きりキネが回らないし、押さえが弱いと勢い余って火きりキネが外れてしまう…。

外れちゃうと、せっかく蓄積した熱が失われ、最初からやり直しになってしまいます。


各班とも炭粒をつくるところまでは行くのですが、火種までには至りません。


予定では16時から夕食準備を始めることになっていましたが、「あと一息!」と火熾しに熱中するスカウトの姿を見ていると、無情にタイムアップを告げることはできません。

そこで各班を二手に分け、夕食準備を開始するとともに30分だけ火熾しを延長することにしました。


結果、市販の火熾しセットを使った“指導者+お手伝い”組が、ほくちの着火に成功。

すぐさまファイアサークルの薪組に火を移し、この後は“聖なる火”として利用されました。(笑)



【長くなるので続きます】


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